■研究開発 金属材料等への新たな表面処理技術について研究開発しています。特に脱炭素社会の構築に貢献できる軽量金属材料への表面処理技術や難めっき素材である樹脂素材等への新たな表面処理方法などに取り組んでいます。 また、高耐久性防食溶射技術やめっき廃棄物削減につながるリサイクル技術等についても取り組んでいます。 |
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(1)複合めっき @ 新たな機能の付与を企図したカーボン分散めっきの開発 めっき被膜中にカーボン微粒子を分散させるめっき技術を検討しています。カーボンは化学的に安定で、かつ高い電気伝導性や摺動特性を有しており、めっきと複合化することで、めっき単体では得られなかった新たな機能を発現できると考えられます。 |
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![]() カーボン分散ニッケルめっきのSEM像(左:表面、右:断面) |
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A 硬質複合めっき膜の開発 硬質クロムめっきは幅広い分野で使用されていますが、通常、環境負荷物質である六価クロムを使用します。本研究では、六価クロムを使用しないめっき技術として、硬質粒子をめっき膜中に含有させる複合めっき技術を検討しています。硬質粒子の粒径などの条件を変えて複合めっき膜を作製し、粒子含有率や硬さなどを評価しています。 |
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![]() 図 SiC複合ニッケルめっきの外観(左)および断面SEM像(右) |
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(2) 軽量金属材料への表面処理 @ 高耐食性化成処理 マグネシウム合金は軽量かつ高い比強度を有し、成形性に優れるため携帯家電や自動車等に使用されていますが、耐食性に劣るためこれを補う表面処理が必要です。当チームではノンクロム型の化成処理技術に着目し、 耐食性および塗装密着性に優れた被膜形成技術を確立しました。(株)正信にて実用化されています。 |
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![]() 高耐食性化成処理 |
![]() 高意匠性化成処理 |
A 黒色化成処理 光学特性や放熱性を高めるための黒色化処理はマグネシウム合金に対してもニーズが高いことから、安価な化成処理による黒色化について検討しています。 現在、AZ91に対して黒色化する方法を見出しましたが、さらに様々な合金を黒色化できる方法を検討中です。 |
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![]() 黒色皮膜 |
![]() 黒色度 |
B ポーラス型陽極酸化皮膜を活用したアルミニウム素材への新たな表面処理技術の開発 アルミニウムの陽極酸化では、電解条件により無数の微細孔が規則的に形成されるポーラス型酸化皮膜を形成することが知られています。 この微細孔を活用することで様々な材料開発が可能となると考えられます。 |
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![]() ポーラス型陽極酸化皮膜のSEM像(左:表面、右:断面) |
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(3)ドライプロセス(真空成膜)関する研究開発 ドライプロセスは水溶液による表面処理(めっき、陽極酸化、化成皮膜など)と対比して、水を用いないプロセス(真空蒸着、スパッタリング、アーク蒸着など)をいいます。 ドライプロセスを活用してウェットプロセスとの複合化による皮膜形成や、新規硬質皮膜の創生を行なっています。 @ ドライプロセスを用いためっき下地層形成 高機能樹脂の1つである炭素繊維強化プラスチック(CFRP)の上に、スパッタ(ドライ)TiC下地層\電気Cuめっき(ウェット)被膜を形成し、クロスカットテープ剥離試験でも剥離のない被膜の形成ができています。 |
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A AlBN・AlNナノコンポジット硬質被膜の創生 同軸型アークプラズマ堆積法により、5〜10nmのナノ微結晶とアモルファスから構成される被膜を高速度鋼上に形成し、AlN配向膜に比べ硬度は1.5倍、アークイオンプレーティング法によるAlN被膜の硬度に比べて1.2倍の被膜が得られています。 |
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(4) 溶射被膜の金属組織の評価 溶射被膜はその適用材料により、被膜の構成元素、組織構造、特性が大きく異なり、このことが溶射を幅広い分野で活用される技術としております。この溶射被膜の組織、元素分布は被膜の機能性を発揮するための重要な要素であることから、 SEM、EDSなどによる組織、元素分布の観察を行っております。 |
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![]() 溶射被膜のEBSD解析結果 |
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(5)めっき廃棄物の削減に関する検討 @ めっきスラッジの再資源化 めっき排水処理により生じるめっきスラッジは産廃処理が必要でありめっき事業者の大きな負担となっています。当チームではめっき工業組合と共同でめっきスラッジを製錬原料へのリサイクルするための技術開発を行っています。 めっき種別毎の分別処理により、これまでに錫めっきスラッジのリサイクルに成功しました。 |
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A クロムめっき液の長寿命化 クロムめっき液はクロム酸の濃厚溶液であるが、使用により液中の鉄イオン及び三価クロムイオンが増加し、めっき硬度の低下や浴電圧の上昇など様々な不具合が生じます。本研究では隔膜電解法を応用し、 クロムめっき液中の鉄イオン及び三価クロムイオン濃度を低減する技術の開発に取り組みました。 |
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■試験・分析 金属材料の組成分析、異物の解析、金属材料の腐食促進試験等を行っています。 |
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■保有設備 ・ 試験分析機器 下記装置の設備利用を実施しています ![]() |
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・ 成膜装置 下記の3種類の製膜装置を保有しており、ラボスケールでの試作が可能です。 |
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■技術交流 九州めっき工業組合、溶射工業会西日本支部等の業界団体や表面技術協会、腐食防食学会等の九州支部と連携し技術交流を深めるとともに、様々な技術セミナーや講演会を企画しています。 |
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■人材育成 ・ 機電研「表面技術」人材育成セミナー 表面技術や機器分析に関する講演会や実習等を開催しています。 ・ めっき技術研修会 表面技術協会九州支部と共同で、めっき実習ならびにめっき試料の分析実習を行っています。 ・ 腐食防食普及会 腐食防食学会九州支部と共同で、腐食防食技術に関する講演会を開催しています。 ・ めっき技能検定事前講習会 九州めっき工業会が開催しているめっき技能検定事前講習会(学科)に講師を派遣しています。 。 |